予防接種の種類

予防接種の種類

はしかは、麻疹ウィルスの感染によって引き起こされる病気です。39℃〜40℃の高熱となり、発疹、目の充血、咳なども症状としてあらわれ、赤ちゃんにはとてもつらい病気です。気管支炎や肺炎、中耳炎や脳炎などといった合併症が引き起こされることもあり、現在の日本においても、年間ではしかによる乳幼児の死亡者は数十人にのぼります。感染力もとても強いことから、赤ちゃんを守る意味での予防接種が強く勧められています。

 

予防接種は麻疹ウィルスの毒性を弱めた生ワクチンを使用します。お母さんから受け取る免疫は8ヶ月ほど続くと見られていますので、1歳を過ぎたら接種を考えてください。副反応は2割程度に接種後7日〜10日くらいで軽いはしかに似た症状が出ますが、1日〜3日で引きます。わずかですが熱性けいれんを起こす場合があり、さらに稀に脳炎が引き起こされることがあります。

 

はしかの予防接種は2006年4月から「はしか・風疹混合」の予防接種として実施されるようになりました。1期、2期、各1回の接種で、1歳児と小学校入学前の1年間は無料で受けられます。その時期を逃してしまうと有料になりますので注意が必要です。

 

同時に受けられる風疹ですが、「3日はしか」とも呼ばれ、症状ははしかに似ています。風邪の初期症状から発熱発疹となります。子どもがかかっても軽症であることが多い病気ですが、関節痛や脳炎の合併症が起こる可能性もあり、また、大人になってかかると重症化し特に妊婦がかかってしまうとお腹の中の赤ちゃんに障害を負わせてしまうかもしれない病気です。保育園や幼稚園などで大流行することが良くありますので、集団生活を送る前には済ませておきたい予防接種です。

 

副反応は、軽い発疹、発熱、リンパ節の腫れなどがありますが、重い副反応はほとんどありません。

ポリオはポリオウィルスの感染によって引き起こされる病気です。発熱や嘔吐、麻痺が起こる病気で、日本では見られませんが中国や東南アジアなどでは珍しい病気ではありません。後遺症として麻痺が残る場合もある重い病気なので、集団接種を実施して予防接種の徹底を図っている自治体がほとんどです。

 

ポリオウィルスは腸から体内に入り込んできます。腸にigA抗体があるとポリオウィルスが体内に入らないようにブロックしてくれますので、ポリオの予防接種はigA 抗体を作るために実施されます。赤ちゃんの腸までワクチンを届けるために注射ではなく直接ワクチンを赤ちゃんに飲ませる方法で行います。生後3ヶ月から1歳半の間に6週間以上あけて2回行います。

 

ワクチンを飲んでから赤ちゃんが吐き出したりしないように、お母さんは赤ちゃんをしっかり抱っこしていてください。接種後30分は会場に留まり、若しゲップなどと一緒に吐いてしまったら飲み直しを相談してください。家に帰ってから吐いてしまったら、かかりつけの医師と相談してください。

 

ひどい下痢を起こしているときはポリオワクチンを飲むことはできません。ワクチンが腸で留まることなく排出されてしまうからです。普段から便がゆるい赤ちゃんは、それが普通の状態なので接種を受けることができます。

 

副反応は、4日から35日の後に軽い風邪の症状になったり、そこから麻痺に至ることもありますが、100万人に1人というくらいの確率です。また、ポリオウィルスは赤ちゃんの腸の中で増殖して便と一緒に排出され、ほかの子にうつる可能性も否定できませんが、ほとんど発症は見られません。数週間の間、便の後始末には気をつけるようにしましょう。

結核は結核菌の感染によって引き起こされます。発熱と咳が長期間続き、重症になると血を吐いたり、呼吸困難になることもあります。抵抗力の弱い赤ちゃんがかかると結核性髄膜炎を起こすことがあり、とても危険な病気です。かつては日本でもたくさんの人たちがこの病気に苦しみましたが、現在では予防接種のおかげでずっと数は減りました。けれども結核自体がなくなった訳ではありません。主に高齢者の発症が多いのですが、小児の結核も決して珍しいとはいえません。集団接種によって広く接種を徹底させる自治体が多いのはこのためです。

 

牛型結核菌を弱めた生ワクチンを使用します。十分な免疫をつけるために4週間以上あけて次の接種を行います。小児の結核の発病は、BCGを行うことによって高い確率で防ぐことができます。

 

平成17年4月から結核予防法の改正により接種方法が変わりました。それ以前は、ツベルクリン反応検査といって赤ちゃんが結核菌に対する抗体を持っているか持っていないかの検査を実施して、持っていない赤ちゃんに限り、接種が行われていました。結核予防法の改正により、小児の重症結核を早期に防ぐために6ヶ月未満の赤ちゃんに限り、ツベルクリン反応検査をせずに直接BCGの接種を行うようになりました。生後3ヶ月から5ヶ月の間は、定期接種として無料で受けられますが、その期間を過ぎると原則として有料になってしまいますから注意が必要です。ただ、自治体によっては公費からの補助があるところもありますから、問い合わせをしてみたほうがいいかもしれません。

 

副反応は、ごく少数ですが、接種を受けたほうのわきの下にあるリンパ節が腫れることがあります。少し様子を見て、ひどくなるようだったらお医者さんを受診しましょう。

三種混合ワクチンとは、ジフテリア、百日ぜき、破傷風のワクチンが合わさったもので、1度に3つの病気に対する予防接種ができてしまいます。

 

ジフテリアは、ジフテリア菌の感染によって起こる病気で、高熱や喉の痛み、咳、神経麻痺、心筋炎の症状が出ます。百日ぜきは、百日ぜき菌の感染により起こります。治療が遅れると長く咳が続き、赤ちゃんにがかかると呼吸困難になることもあります。生後まもなくの赤ちゃんもかかる可能性がある病気です。

 

破傷風は、土の中にいる破傷風菌が傷口から体内に入り込むことによって発症します。麻痺などの神経症状が起こり死亡確率も高い危険な病気です。予防接種の普及によって感染者は少なくなりましたが、日本の土の中にも破傷風菌はいるので、接種を受けなければいつ感染してもおかしくはない状況にあります。

 

1回の接種では免疫がつきにくいため、接種の回数が多いことが特徴です。第一期は生後3ヶ月から1歳の間に3週間から8週間あけて3回接種を行い、1年から1年半の間を空けて1回の追加接種を行います。第二期は小学6年生の時に百日ぜきを除いた2種混合の予防接種を行います。

 

目立った副反応は見られず、注射の跡が赤く腫れたり、硬くなったりします。3〜4日で治ってしまいますが、稀に肩からひじまでの広い範囲で腫れてしまう事もあります。腫れがひどく気になるときは医師を受診してください。

 

赤ちゃんをしっかり抱っこして受けるほうと反対側の手をしっかり押さえてください。また、接種後はワクチンが中までよく広がっていくように5分間くらいはやさしくもんであげましょう。

 

回数が多く、間隔も決められているために、忙しない印象を持つ予防接種ですが、仮に8週間を過ぎてしまっても予防接種の効果がなくなってしまうわけではありません。かかりつけのお医者さんに相談してアドバイスを受けてください。回数をきちんとこなせば大丈夫な場合がほとんどです。

日本脳炎は、日本脳炎に感染した豚を刺した蚊に刺されることで人にも感染します。高熱、頭痛、意識障害、麻痺などの症状が起きますが、比較的症状は軽いことが多い病気です。100人から1000人に1人ぐらいと言われますが、髄膜脳炎や脊髄炎を発症することもあります。日本では予防接種の普及により感染者はごく少ないのですが、世界的に見れば多くの感染者が存在します。髄膜脳炎になってしまうと、死亡率も高く後遺症が残ってしまうことも珍しくはない病気です。

 

しかし、日本で行われている日本脳炎予防接種のワクチンには、急性散在性脳髄膜炎という重い副反応が起こることが明らかになりました。現在、これを受けて日本脳炎の予防接種に対する奨励を国は控えています。同時に、より安全なワクチンも開発中です。この副反応はほとんどが治療によって完治しますが、1割程度に神経系の後遺症が残ることがわかっています。

 

とはいえ、日本脳炎自体は依然として日本に存在するわけです。また、東南アジアなどの、感染者が多い地域への渡航を控えている場合、日本脳炎にかかってしまったら有効な治療法がない上、重症化も懸念されるので接種を検討する価値は十分にあります。

 

生後6ヶ月から7歳半までの間は無料で受けることができます。1歳を過ぎてからの接種が一般的です。1回目の後に1〜2週間あけて2回目の接種を、1年以上明けて4歳くらいに追加の1回を受けます。これで基礎免疫はつきます。

 

急な転勤などで、海外渡航をしなければならない場合など、できるだけ早めにかかりつけの医師と相談しましょう。副反応とワクチンの効果とを考慮して、親が決断しなければなりません。何もしなければ、無防備で赤ちゃんを連れて行ってしまうことにもなりかねません。慎重に考えましょう。

おたふく風邪は正式には流行性耳下腺炎といい、ムンプスウィルスに感染することで引き起こされます。耳の下から顎が腫れて痛みや発熱を伴い、髄膜炎や、髄膜脳炎などの合併症が起こることもあります。また、難聴になってしまうケースもあります。健康な子が感染してもひどく重症化はしませんが、怖い合併症が懸念されるので、お母さんからの免疫がきれてくる1歳過ぎからの早めの接種が勧められています。

 

ムンプスウィルスの毒性を弱めた生ワクチンが使用されます。保育園や幼稚園での流行はよく見られますので、入園前に余裕を持って受けておけば1ヶ月で十分な免疫がつきます。思春期以降に感染すると、睾丸炎や卵巣炎を引き起こし不妊の原因になることもあります。

 

副反応は2〜3週間後に軽いおたふく風邪のような症状が現れることがあります。また、稀ではありますが、無菌性髄膜炎を起こすこともありますが、症状は軽く後遺症もほぼ残りません。

 

水疱瘡は水痘ウィルスの感染によって引き起こされる病気です。潜伏期間は2週間、かゆみを伴う小さな水疱が全身に現れ発熱を伴うこともあります。水泡がかさぶたになり1〜2週間で多くは完治します。健康な赤ちゃんには特に心配する病気ではありませんが、抵抗力が弱っているときにかかると重症化してしまいます。脳障害などの合併症を引き起こす可能性もあり、また、感染すると水痘ウィルスが体内に潜み、成長してから帯状疱疹をわずらってしまう可能性があります。

 

水痘ウィルスの毒性を弱めた生ワクチンを使用します。1〜3週間後に軽い発疹や発熱の副反応が起きることがありますが、すぐに治ってしまいます。

インフルエンザウィルスによって引き起こされる病気で、その年のウィルスの型によっても違いますが39度前後の高熱が出て、咳や鼻水、喉や関節の痛み、嘔吐下痢などの激しい症状が特徴です。赤ちゃんは抵抗力が弱いため、気管支炎や肺炎などを引き起こしたり、稀に脳症などの合併症が現れる危険な病気です。

 

インフルエンザの予防接種は、その年の流行を考慮してワクチンが作られています。流行する型にはA、B型があり、さらに毎年微妙に変化しているため、感染を完全に防ぐことは不可能です。ワクチンは実際の流行より前に作られるため、型が一致すれば高い効果が得られますが、一致しないと感染確率が高くなります。とはいえ、重症化は避けられることが多く、効果がないとはいえません。

 

以前はすべての人が受ける予防接種でしたが、現在では任意接種で費用も個人負担となっています。インフルエンザにかかってしまった場合も、特効薬が開発されていますが、この薬にも重い副反応の懸念が指摘されています。接種率の低下にしたがって感染者数も増加してしまいました。高齢者や乳幼児には危険な病気ということで、近年、再び接種率が上がってきています。

 

副反応は接種したところが赤く腫れる程度で、発熱などの目立った症状はあまり見られません。しかし、ワクチンを作る際、インフルエンザウィルスの増殖に孵化鶏卵が使用されるため、卵にアレルギーがある場合はきちんと医師に伝えましょう。

 

毎年、必ずといっていいほどインフルエンザの流行は訪れます。予防接種をしても完全には防ぎきれるものではありません。赤ちゃんを守るという意味では、お母さんやお父さんはじめ家族も予防接種を受けること、外から帰ってきたらうがいや手洗いをして家の中へのウィルスの侵入を防ぐこと、流行時期に人ごみを避けることなどは、言うまでもなく気をつけていきたいことです。

外国へ行くにあたって赤ちゃんを同伴せざるを得ないとき、予防接種は日本国内にいるときとは違って、特に気をつけて受けていかないといけません。海外渡航が決まったら速やかにかかりつけの医師に相談して、予防接種を進めてください。

 

渡航する国にもよりますが、日本は比較的病気の感染から守られている社会であり、世界にはまだまだ危険な病気のウィルスが日常生活の中で当たり前に見られる地域が数多くあるのです。また、渡航先では国籍がないため、または言葉の問題もあり、必要とする予防接種を直ちに受けることは難しいと考えられます。危険な病気のある地域へ予防接種を済ませていない赤ちゃんを連れて行くことは、この上なく危険なことなのです。

 

WHOが世界規模で推奨している小児に対するEPIワクチンは、ポリオ、BCG(結核)、三種混合(ジフテリア、百日ぜき、破傷風)、麻疹の6種類で、日本においては定期摂取ですべてカバーすることができます。まず、あらかじめこれらの接種を済ませていくことが大切です。

 

次に、渡航先の国に流行している病気に対する予防接種を済ませておく必要があります。黄熱病や狂犬病など、入国する際に接種を受けておくことが要求されているワクチンもあります。日本においては予防接種の間隔が定められているので、早めに医師と相談して効率の良いスケジュールを組み立てていく必要があります。

 

渡航先の国はもちろん、旅行の形態や滞在日数、滞在の方法などによっても、必要とする予防接種の種類は異なってきます。なれない外国での生活で、重い病気と戦うことは赤ちゃんにとってもお母さんにとっても、避けるに越したことはありません。何はなくとも、お医者さんに相談しましょう。